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STORY

オリエンタルホテル 沖縄リゾート&スパでは、ゲストのリラックスタイムのために、2つの特別なコーヒーを提供している。
1つは、客室に備える、名護市にあるコーヒー農園「中山コーヒー園」のオリジナルブレンド。やんばるの森で栽培された沖縄県産コーヒーは、県外ではなかなか出会うことができない。
もう1つは、沖縄市の名店「アンバーホリック」のコーヒー。こちらはクラブラウンジで味わうことができる。
どちらも、コーヒーの専門知識を持つホテルスタッフが、自ら農園や店舗へ足を運び、納得できる上質なコーヒーを厳選してきたものだ。

今回、中山コーヒー園を訪問し、農園の散策と焙煎・抽出を体験させていただきながら、沖縄県産コーヒーの魅力について話を聞いた。
※情報は2024年6月の取材時のものとなります。

約7,000坪の敷地でコーヒーを栽培する
「中山コーヒー園」

約7,000坪の敷地でコーヒーを栽培する「中山コーヒー園」
中山コーヒー園

中山コーヒー園は、名護市中山という地域の森の中にある。名護市の中心街から車で10分ほど、県道から脇道に入り少し進めば、あっという間に亜熱帯の森に包まれる。農園の広さは約7,000坪。年間1.2トンほどのコーヒー豆が収穫される。沖縄県内でもこれほどの規模で生産しているコーヒー農園はあまりみられない。

「初めは300本ほどの苗木からスタートしました。現在では約2,000本のコーヒーの木が育っています」と語るのは、中山コーヒー園の代表、岸本辰巳(きしもとたつみ)さん。2013年に友人からこの土地を借り、コーヒー農園を始めた。

現在栽培されているコーヒーの木の種類は13品種ほどあり、沖縄で古くから栽培されている品種から、近年新たに育て始めたものまで幅広い。

沖縄は海外の主要なコーヒー生産地と比べて標高が低く、1年を通して寒暖差が少ない。そのため沖縄県産のコーヒーは、海外産のコーヒーと比べて軽やかで甘味のある味わいが楽しめる。
海外産のコーヒーが数か月かけて日本に運ばれることを思うと、新鮮な生豆を生産地で焙煎して味わえるのは、県産ならではの魅力だ。

他にも海外産と異なる特徴として、完熟した実だけを1つずつ手作業で収穫することもあげられる。海外の大きな生産地では、収穫時期が沖縄よりも短く、一度に大量に収穫する必要があることから機械の力を借りることがある。手作業での収穫は手間がかかるが、完熟したものとしていないものが混ざることもなく、品質を安定させることができる。

約1万坪の敷地でコーヒーを栽培する「中山コーヒー園」
中山コーヒー園

コーヒー農園の散策を通して、
やんばるの自然と文化を楽しむ

中山コーヒー園の代表、岸本辰巳(きしもとたつみ)さん
中山コーヒー園の代表、岸本辰巳(きしもとたつみ)さん

中山コーヒー園では、訪れた方にコーヒーづくりの奥深さを知ってもらいたいという思いから、コーヒー農園の散策や、収穫・焙煎が体験できるコースが用意されている。(収穫は11月下旬〜4月下旬のみ体験可能)

中山コーヒー園 「収穫・焙煎体験」
https://nakayama-coffee.net/harvest/

農園の散策を案内してくれるのは岸本さん。段々畑のように広がるコーヒーの木々の合間を歩きながら、栽培の工夫や苦労、品種の特色、現在の成長の様子など、さまざまな話を聞くことができる。

「ここはもともとは、シークワーサーやタンカン(みかんの一種)の畑だった場所です。まわりの大きな木々は防風林でもあるんです。おかげで台風の時もコーヒーの木を守ってもらえます」

「この変わった鳴き声は、オオシマゼミ。よく鳥と間違われるんですが、やんばるに棲むセミなんです」

「あの大きな木は、ホルトノキ。ここまで大きなホルトノキは沖縄でも珍しいそうです」

「ここに竹があるのは、敷地の境を示すためです。沖縄では土地の境目に竹を植える文化があったんですよ」

やんばるの植物や生き物の知識、沖縄の文化のことなど、コーヒー以外にも興味深い話が飛び交う。ちょっとしたトレッキングのような、充実した時間が楽しめる。

森の中で青々と育つコーヒーの木々。
森の中で青々と育つコーヒーの木々。
コーヒーの木は、手入れがしやすいよう目の高さくらいまでに剪定する。
コーヒーの木は、手入れがしやすいよう目の高さくらいまでに剪定する。
コーヒーの実。11月下旬ごろから赤く色づき収穫期を迎える。
コーヒーの実。11月下旬ごろから赤く色づき収穫期を迎える。
森のシンボルのような、大きなホルトノキ。
森のシンボルのような、大きなホルトノキ。
カマキリの卵など、生き物に出会えることも。
カマキリの卵など、生き物に出会えることも。
やんばるらしいシダ植物が生い茂る農園を歩く。
やんばるらしいシダ植物が生い茂る農園を歩く。

この地で育った生豆を、
自分好みに焼き上げる焙煎体験

この地で育った生豆を、自分好みに焼き上げる焙煎体験

焙煎体験は、中山コーヒー園で収穫された数種類の生豆の中から好みのものを選ぶことから始まる。この日のラインナップは、ティピカ、ムンドノーボ、中山産ミックスの3種。

「この豆には、深い焙煎よりも、中煎りや浅煎りの方が合いますよ」など、農園スタッフから詳しいアドバイスをもらいながら、自分の好みの煎り具合に仕上げていく。生豆を火にかけてから約10分、ちょうど良い色合いに焼けたら、風にあてて冷ますことで焙煎をストップさせる。

焙煎したコーヒーは、その場でドリップして味わうことができる。豆の種類や煎り具合に合わせて、豆の引き具合や湯温を調整して抽出する。

目の前に広がる豊かな自然を眺めながら、できたてのコーヒーを味わう。自分で収穫・焙煎まで手がけたフレッシュなコーヒーは、特別な一杯となるだろう。

中山コーヒー園で収穫された生豆から好きなものを選ぶ。
中山コーヒー園で収穫された生豆から好きなものを選ぶ。
実をつけたまま熟成させる製法のため、発酵の香りがする生豆。
実をつけたまま熟成させる製法のため、発酵の香りがする生豆。
農園スタッフと相談しながら焙煎度合いを決めていく。
農園スタッフと相談しながら焙煎度合いを決めていく。
生豆を火にかけ、左右に振りながら焙煎していく。
生豆を火にかけ、左右に振りながら焙煎していく。
好みの色合いまで焼けたら、風に当てて冷ます。
好みの色合いまで焼けたら、風に当てて冷ます。
手動のミルに移し替えて豆を挽く。
手動のミルに移し替えて豆を挽く。
その場でドリップをする。
その場でドリップをする。
フレッシュな一杯を味わう。
フレッシュな一杯を味わう。

地元の仲間、全国のコーヒーファンに支えられる
「中山コーヒー園」

中山コーヒー園の代表、岸本辰巳さん
中山コーヒー園の代表、岸本辰巳さん

「学生の頃からコーヒーが好きだった」と話す岸本さん。産地による味わいの違いを楽しむなど、若い頃からコーヒーに関心を寄せていた。
岸本さんは大学を卒業後、農業を学ぶためにアメリカへ渡った。花や野菜の苗について2年ほど学んだ後、出身地である沖縄へ戻った。その後、水耕栽培に関わる仕事や、カヤックガイドなどアウトドアの仕事を経験し、29歳の時に名護市で飲食店を開業。地元に密着し、17年ほど店を運営してきた。

「コーヒー農園を始めたきっかけは、知り合いから苗木を譲り受けたことでした。アメリカで苗について学んでいた経験もあり、コーヒーも好きだったので、育ててみようかと。でも適当な土地がなかった。そんな時、『模合(もあい)※』の仲間が、遊んでる土地があるから自由に使っていいよと言ってくれたんです」

※模合(もあい)…沖縄に古くからある助け合いの文化で、数人の仲間で定期的に集まって飲食を楽しむ会合。その際に決まった掛金を集め、輪番で仲間の一人が受け取る。

中山コーヒー園の代表、岸本辰巳さん

2013年に、飲食店との兼業でコーヒー栽培をスタート。同じ沖縄で先にコーヒー栽培を始めていた方からアドバイスをもらったり、全国のコーヒー好きの方から苗木や栽培に関する情報をもらったりしながら、少しずつ農園を拡大していった。
まとまった収穫量が確保できるようになったことから、2019年にコーヒーの専業農家に。当ホテルも支援に参画したクラウドファンディングや、国からの補助、全国のコーヒー好きの方からの支援などのおかげで「なんとか続けてこられた」と語る。

20代前半にアメリカで過ごした時期には、農業の他にも多くのことを学んだそう。
「アメリカでさまざまな人と出会い、ものの見方、考え方や捉え方がそれぞれ異なることを知りました。自分が常識だと思っていたことが海外では違っていた。そうかと思えば、日本人と似たような感性を持っている一面もありました」

現在、中山コーヒー園へ訪れる人の約1割を海外からの観光客が占める。希少な沖縄県産のコーヒーは海外でも注目されつつあり、ヨーロッパからの注文を受けることも。
岸本さんのアメリカでの経験は、海外のお客さんとのやり取りや、多様な農園運営の考え方にも生かされている。

中山コーヒー園の看板

ホテルで楽しめるもう1つの上質なコーヒー「アンバーホリック」

ラウンジ業務を担当する、喜名貢士(きなたかし)さん
ラウンジ業務を担当する、喜名貢士(きなたかし)さん

オリエンタルホテル 沖縄リゾート&スパでは、中山コーヒー園の他にももう1つ、こだわりのコーヒーが楽しめる。クラブラウンジで提供している「アンバーホリック」のコーヒーだ。
アンバーホリックは、沖縄市のコザというエリアにあるコーヒー店。コーヒーカルチャーが盛り上がる沖縄県内で、ファンが多い自家焙煎店の1つ。コザの周辺には米軍基地があることから、異国の雰囲気を醸し出す独特の文化が根付いている。

当ホテルでラウンジ業務を担当する、喜名貢士(きなたかし)さんに話を聞いた。
「クラブラウンジという上質な空間だからこそ、どこよりも上質なコーヒーを提供したいと考えています。僕自身もコーヒーが好きでいろいろなお店に通ってきましたが、アンバーホリック代表の野村さんの情熱に触れ、この方のコーヒーなら信頼できると思ったんです」

アンバーホリックの代表、野村雄太さんは、自ら海外の農園をめぐり、厳選したコーヒー豆を仕入れている。当ホテルにも実際に宿泊し、「クラブラウンジにはこのコーヒーが合うのではないか」とさまざまな視点から提案をしてくれたという。ホテルのスタッフが、お客様にコーヒーについて正確に伝えられるよう、野村さんを講師とした勉強会も開催されている。

「バルミューダ製のコーヒーメーカーを提案してくれたのも野村さんでした。ハンドドリップでは、どうしても淹れる人によって味のばらつきが出てしまいます。アンバーホリックのコーヒーの味わいを、お店で飲む時と同じように楽しんでいただけるよう、このマシーンを取り入れました。数タッチで簡単に操作ができ、デザイン性に優れているところもお客様に好評です」

クラブラウンジで提供している「アンバーホリック」のコーヒー
クラブラウンジで提供している「アンバーホリック」のコーヒー

お客様により充実したコーヒータイムを過ごしていただけるよう、クラブラウンジのコーヒーの種類を時間帯によって変えるサービスも企画した。10時〜17時は季節に合わせたシングルオリジンを、19時〜23時は静かな夜のひとときに合わせたブレンドを提供している。

「1日の間でも、1年を通してでも、お客様が訪れるタイミングによってさまざまなコーヒーを味わっていただけるようにと考えました。コーヒー好きな方はもちろん、多くの方に沖縄コーヒー文化の魅力を楽しんでいただけたら嬉しいです」 自身もコーヒーを愛する一人として、喜名さんのコーヒーへの探求は尽きることがない。

沖縄県内のコーヒー栽培の歴史は古く、発祥は100年以上前に遡るといわれている。ただし、県外に出荷されることはほとんどないため、その存在はあまり知られていない。 オリエンタルホテル 沖縄リゾート&スパで味わう一杯のコーヒーをきっかけに、海や森だけに収まらない、沖縄の豊かな食の文化の魅力を感じていただきたい。

中山コーヒー園
https://nakayama-coffee.net/harvest/

アンバーホリック
https://www.amberholic.net/
https://www.instagram.com/amber_holic._/