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STORY - Mar. 2024
沖縄の子どもたちのために、
地域が、ホテルが今できること。
持続可能で、人にやさしい
街づくりのために
オリエンタルホテル 沖縄リゾート&スパは、一年を通して、南国の旅を満喫する人々の高揚感であふれている。そんなロビーの一角で、この夏のある日、学生たちによってある沖縄の伝統菓子の販売が行われた。彼らは、当ホテルに2週間のインターンに訪れている東京学芸大学の学生と、沖縄工業高等専門学校に通う学生たち。販売しているのは「ハーガー」という沖縄の伝統菓子で、当ホテルの前泊料理長と、「名護子ども食堂」を運営する神谷康弘さん、そして子どもたちと学生たちが協力して開発したオリジナルの商品だ。
子ども食堂と、大学、ホテル。なぜこの三者が一つのプロジェクトに関わり合っているのか。神谷さんや学生、ホテルスタッフに話を聞き、取り組みの内容とその想いを探った。
「自分が子どもの貧困問題にかかわることになるとは、まったく想像していませんでした」と話すのは、名護子ども食堂を運営する神谷康弘さん。
神谷さんは2011年、東京の金融会社を早期退職をし、沖縄へ移住。知人の紹介で名護市内で飲食店を開いた。その当時、神谷さんのお店と同じ建物内に一つの子ども食堂が開かれていた。
沖縄県の「子どもの貧困」の割合は全国の2倍と高く、「3人に1人が貧困」といわれている。貧困が引き金となり、子どもたちを取り巻く環境には深刻な問題が潜んでいる。
「自店のスタッフが子ども食堂でボランティアをしていて、少しずつ実情を聞いていました。彼らから、運営がうまくいっていないことを相談されたことをきっかけに、子ども食堂の手伝いを始めました」
神谷さんは地元名護市の企業に呼びかけ、スポンサーを集めた。オリエンタルホテル沖縄と神谷さんとの出会いもこの頃だ。すると、出資元の企業や地域から「子ども食堂をぜひ続けてほしい」と望まれるようになっていった。子どもたちの居場所づくりに協力したいという人々の想いを受け、神谷さんは運営を続けていく決意をした。
名護こども食堂
https://www.gonago.info/
名護こども食堂-75kids
https://www.instagram.com/75kids/
オリエンタルホテルと名護子ども食堂との交流は、2017年から始まった。毎週土曜、ホテルの料理人やスタッフが子どもたちと献立を考え、共に料理をし、食事だけではないあたたかな時間を過ごしてきた。食器洗いや掃除も含め、日々のささやかな作業を通じて、子どもたちとの絆を育んだ。
「初めは心を閉ざしていた子どもたちとも、やがてコミュニケーションが取れるようになっていった」とホテルスタッフは振り返る。食堂は子どもたちにとって楽しい思い出と安らぎの居場所へと変わり、さまざまな大人たちとの新しい出会いの場となった。
2020年、コロナ禍の中で、調理から弁当提供へとスタイルを変更。オリエンタルホテルからも弁当を提供するなどして交流をつないできた。現在はコロナが明け、ホテルが多忙になったことにより、直接参加することは難しくなったが、弁当資材の提供やイベントの開催を通じて、支援を続けている。
運営を続けていくうちに、神谷さんは、ただ食事を提供するだけではなく、子どもたちに学びの機会も提供できる場にできないかと考えるようになった。
「大学生たちと触れ合うことで、子どもたちにとってのロールモデルができるのではないかと思ったんです。一方的に大人の価値観を押し付けるのではなく、『こんな大人になりたい』と、自然と興味関心を広げてもらえたらと」
現在、毎週水曜の子ども食堂では、東京学芸大学の学生たちがオンラインで学習サポートを行っている。子どもたちが楽しく遊んでいるうちに自然と学べるようなプログラムを工夫している。ICT教材の活用をサポートしているのは、地元名護市にある沖縄工業高等専門学校の学生たちだ。
子どもたちとの関わりは、教育を学ぶ学生にとっても貴重な「学びの場」となっている。神谷さんは、これからの社会を担う学生たちの視野を広げることも活動の柱の一つと捉えている。「学生たちが子どもたちの実情を知ることで、この子たちを取り残さないようにするにはどうしたら良いか、社会構造も含めて考えるきっかけとなっているようです」
東京学芸大学こどもの学び困難支援センター
https://suretgu.com/
国立沖縄工業高等専門学校
https://www.okinawa-ct.ac.jp/
学生たちと子ども食堂との関わりは、学習支援だけに留まらない。沖縄工業高等専門学校と子どもたちが協働し、名護市の地域課題解決につながる新商品を開発した。その名も「タコスパ」。子どもたちが大好きな、タコスとスパゲティを組み合わせた創作メニューだ。東京学芸大学の学生も、パッケージデザインなどの面でプロジェクトに携わった。
プロジェクトに参加した、沖縄工業高等専門学校の久場悠誠(くばゆうせい)さんは、「普段の授業では体験できないことばかりで、大変なこともあったが多くを学ぶことができた」と、活動を振り返った。
さらに、オリエンタルホテルでは、数年前から、東京学芸大学の学生たちをインターンシップとして受け入れる取り組みを始めた。ホテルの仕事を体験してもらいながら、名護子ども食堂の活動にも実際に参加してもらっている。神谷さんが産学をつないだことで、子どもたち・学生・企業の三者にとって価値のある、新たな取り組みが生まれている。
沖縄Tacoスパ!!|名護こども食堂
https://www.gonago.info/tacospa
2023年夏、学生と子どもたちが協力して取り組んだのが、オリエンタルホテルでの販売まで実現した、沖縄の伝統菓子「ハーガー」の開発だ。子どもたちが考えたレシピをもとに、オリエンタルホテルの前泊料理長がバランスを調整。神谷さん曰く「びっくりするくらいおいしい」ハーガーが完成した。ハーガーの販売利益は、タコスパ同様、名護子ども食堂の運営資金に充てられる。
名護子ども食堂ではこれまでも、ホテルの料理長やパティシエをゲストに招き、子どもたちがプロの技を体感する機会を作ってきた。
「プロに教わって、人に食べてもらうことを意識したりするようになると、子どもたちの食べ物への見方が変わります。そして『自分にもできた』と自信を持つことで、行動も変わっていくようです」
さまざまなプロとの出会いは、子どもたちに大きな変化を与えている。
【オリエンタルホテル 沖縄リゾート&スパ】名護こども食堂、国立大学法人 東京学芸大学との産学連携プロジェクトでインターンシップ生が、ホテル業務の体験やこども食堂支援活動に加え3つの企画に参加!
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001381.000016207.html
2016年4月に子ども食堂を引き継ぎ、約7年。この間に神谷さんは、子ども食堂を中心として、企業とのつながり、教育機関とのつながりを築いてきた。「地域課題の解決は、多くの人々と協働することではじめて実現できる」と神谷さんは実感している。
東京学芸大学の田村杏佳(たむらきょうか)さんも、「活動を通して、業種や専門を越えた人々の力が集まることの価値がわかりました」と語った。
子どもを取り巻く未来を見据えて、神谷さんは「子ども食堂の自走化」を目標としている。「産学が連携して、子どもたちが生き生きと社会に出ていけるようサポートすることが、もっとも良い循環を生み出すのではないでしょうか」
企業の利益を地域に還元することで、子どもたちや学生にとって学びの場が生まれる。そこで育った子どもたちが、自分らしく豊かな人生を築くことで、社会を動かしていく。多くの人々が、沖縄のホテルで楽しく過ごすこともまた、そんな循環の一部に位置づいている。
沖縄北部のやんばるでは、神谷さんと名護子ども食堂、学生たちを軸として、やさしい社会へとつながる未来が今、動き始めている。
名護こども食堂は、支援が必要な子どもたちに、無料で食事、安心できる居場所、そして学習支援を提供しています。
家族と離れて一人で食べるよりも、みんなで集まって楽しい時間を過ごしましょう!
私たちはスクールソーシャルワーカーと連携し、真に支援を必要とする子どもたちに、心温まる居場所を提供しています。
参加お問合せは、「名護こども食堂」までお気軽にお問い合わせください。