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STORY - Jul. 2025
オリエンタルホテル 沖縄リゾート&スパ
オリジナルデザインパターン開発ストーリー
手のひらに、やんばるの息吹を。
オリエンタルホテル 沖縄リゾート&スパでは、ゲストにお渡しするルームキーケースやパンフレット等のペーパーアイテムに、当ホテルオリジナルの5種類のデザインパターンを用いている。これらのデザインパターンは、やんばるを訪れるお客様にこの土地の魅力をより感じていただけるようにと、ホテルスタッフとデザイナーとが熱意を込めて制作した。デザインを担当したお二人へのインタビューを中心に、その開発ストーリーを紹介する。
オリエンタルホテル 沖縄リゾート&スパのオリジナルデザインパターンは全5種類。それぞれ、やんばるの海、ゆったりと流れる島時間、亜熱帯特有のやんばるの森、あたたかな夕陽、そしてやんばるに生息するいきものをモチーフにしている。
フロント、ゲストルーム、ウェブサイトなど、当ホテルのさまざまな場所でこのデザインパターンをご覧いただくことができる。
これらのデザインパターンは、2021年のオリエンタルホテル 沖縄リゾート&スパのリブランドに際して、ホテルのスタッフとデザイナーが力を合わせて開発した。沖縄を、やんばるを選んで訪れてくださるゲストへの想いと、やんばるの自然への敬意を胸に、何度も話し合いを重ねて完成までたどり着いた。
今回デザインを担当したのは、TANK株式会社のプロデューサー 中山研一氏と、アートディレクター 平野隆則氏。制作を振り返り、お二人にお話をうかがった。
「オリエンタルホテル 沖縄リゾート&スパ様とTANK株式会社の間で数名の知人の縁がつながったことから、このデザイン制作の機会をいただきました。最初にお話をうかがった時から、上質なホテルのデザインイメージが頭の中に浮かび、また、私たちのビジョンにも合致すると感じたため、『ぜひ担当させていただきたい』とお伝えしました。当社ではこれまでにホテルのウェディングの企画・デザイン等の実績もあったため、納得いただけるようなご提案ができるのではと考えていました」(平野氏)
デザイン制作が始まった当初は、オリエンタルホテル 沖縄リゾート&スパを訪れたことはなかったという。コロナ禍であったことも影響して、気軽に訪れることが難しいタイミングだった。そんな中、沖縄や、やんばるについてのイメージはどのように膨らませていったのだろうか。
「まずは、モチーフとなるものを考えることからスタートしました。沖縄のイメージをいくつか挙げていったのですが、やはり最初に浮かんできたのは、美しい海や力強い森といった豊かな自然でした。さらに沖縄の歴史や文化、独自の生態系などについても情報を収集し知識を深めながら、やんばるに位置するホテルならではの特性を生かす方向で検討を進めました」(中山氏)
TANK株式会社 https://ta-nk.co.jp/
デザイン制作にあたっては、「コンセプトがぶれないことが何よりも重要」だと平野氏は話す。オリエンタルホテル 沖縄リゾート&スパのコンセプトである「島とあそぶ 森とつながる」について、ホテル担当者からもしっかりと説明を受けていたことが、デザインの方向性を決めていく上でキーポイントとなった。
「ホテルのコンセプトを解釈しながら沖縄へ思いを馳せているうちに、目に見えるものだけでなく、ホテルでゆったりと過ごす時間、島ならではののんびりとした時間も、沖縄の大きな特徴の1つだと気づいたのです」(平野氏)
そうして生まれたのが「島時間」というデザインパターン。多くの人々が沖縄を訪れる際に求めるのは、心の安らぎやほっとできる時間、それを体感できる場所としてホテルが選ばれるのではないか。島に流れる穏やかな時間を、滑らかで普遍的なデザインに落とし込んだ。
「さらに、目に見えないものの中には、『旅の記憶』も含まれるのではないかと考えました。例えば、水平線に沈む夕陽の美しさの記憶。慌ただしく過ぎる日常では、なかなか夕陽を眺めるような時間は取れませんが、こうした旅先での風景は大切な記憶として残りますよね。沖縄を訪れた方の記憶も取り込めるよう、あたたかな雰囲気のある夕陽のデザインを考えました」(中山氏)
「デザインを形にする前に、沖縄の魅力とはなんだろう、やんばるとはどんな場所なんだろうと、社内で深く話し合うことに時間を費やせたことで、本質に迫ることができたと感じています。そして、ホテルのコンセプトがしっかりと固まっていたからこそ、1つの方向に集中することができました」(平野氏)
沖縄と聞いて多くの人が思い浮かべるのは、美しい海の情景ではないだろうか。今回のデザインパターンにも、もちろん海のモチーフが含まれている。しかし、提案当初の海のデザインは、完成したものと少し違っていたという。
「最初は、明るめのエメラルドグリーンを基調とした『海』のデザインをご提案したんです。南国の海といえばこの色だと考えていた色でした。しかし、ホテルの担当者様から、やんばるの海の色はもっと深いブルーである、というお話があり、とても驚きました。ホテルのみなさんがやんばるをよく理解し、愛していらっしゃることが伝わってきましたね」(中山氏)
やんばるの海は、リーフからすぐに極端に深くなっている箇所が多いため、南部と比べて白と紺のコントラストが強く、紺碧の力強い海が見られる。ホテル側からこのような説明を受けたことで、エメラルドグリーンではなく紺色を貴重とし、波の強さを表現したデザインが完成した。
また、「やんばるの森」「やんばるのいきもの」のデザインパターンにも、やんばるらしさへのこだわりが込められている。
「やんばるの森」は、亜熱帯特有の迫力のある木々の様子や、蔦植物が絡まり合っている様子が表現されている。森の中に入った時に感じる木々の色合いも感じられるのではないだろうか。
そして「やんばるのいきもの」は、ヤンバルクイナの色合いをもとにデザインされている。実際のヤンバルクイナを写真で観察し、ヤンバルクイナ特有の体色、特徴的な赤色のあしの色を織り混ぜ、いきものの美しさを表現している。
TANK株式会社とオリエンタルホテル 沖縄リゾート&スパとの綿密なやり取りを経て完成したデザインパターンは、現在、お客様をお迎えするためのさまざまなツールに形を変え、活用されている。
デザインパターン開発を担当したオリエンタルホテル 沖縄リゾート&スパの金城氏、姉崎氏は次のように話す。
「フロントでカードキーをお渡しする際に、お客様にデザインの意味をお伝えすると、とても喜んでいただけます。デザインパターンがお客様との新たなコミュニケーションにつながっているようです。5種類のデザインは各所に採用されているのですが、トータルで見てもホテルのイメージと合致していて、お客様にも心地よく感じていただけるのではないでしょうか」(金城氏)
「やんばるは世界自然遺産に登録されたばかりで、少しずつその魅力が知られつつある段階です。当ホテルでの滞在の中で、自然とやんばるのイメージに囲まれて過ごしていただくことで、さらにやんばるを深く知っていただくきっかけとなることを願っています」(姉崎氏)
海や森といった目に見えるものから、時間や記憶といった目に見えないものまで、さまざまな魅力が溢れるやんばる。
当ホテルグループは、地域の窓口であるホテルの役割として、地域に暮らす人々だけでなく、その地域にルーツを持つ人、仕事などで往来する人、企業など、関連する多様な人々である“関係人口”を巻き込み、ホテルが有する場所・機能・人とのネットワークを共有し、地域の魅力を創造する地域共創戦略“コ・クリエーションホテル”戦略を展開している。
今回ご紹介したようなデザインパターンは細部のこだわりではあるが、やんばるの魅力と結びつき、地域に根差したホテルであり続けることの一助となるよう、今後も活用されていくそうだ。